パーティ・ナイト
前編
「ただいま。」
「あ、兄ちゃんおかえり〜〜!
なあなあ、これ見てくれよ〜〜!」
「なんだ騒がしい。
お前ももう来期からはプロ選手になるんだからもう少しだな…。」
「あーあー、そんなこと今はいいから!
ほらっ!」
「何だ?」
由太郎が差し出したのは一枚の葉書だった。
そこに書かれている文字を見た魁は、目を見開いた。
「県対抗総力戦 第一期生の集い…?」
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「おーす!カイちゃん、ユタ〜!久しぶりじゃねえか!」
「うどん先輩〜っ!」
「由太郎くんは随分と成長したね。
もう魁くんと然程身長も変わらないようだ。」
1週間後、会場を訪れた村中兄弟は、早速懐かしい顔ぶれに出会った。
高校時代の友人達だ。
小饂飩勇は大学で物理学を専攻していて、大学院を受ける予定らしい。
緋慈華汰斗肢は現在新人作詞家として活躍している。
とめどなくあふれる言葉を有益に使っている、ということか…。
村中兄弟は、といえば兄の魁は既にプロ選手として3年目に入ろうという頃。
弟の由太郎も、兄と同じチームへの入団を決めた。
月日の流れをどこか実感しながら、青春時代(古)を懐かしく思い返したその時。
「おーいっ黒撰!」
「あ!さるの〜〜!!」
あの日々の中で最も大きな存在となった人物が現れた。
十二支高校の猿野天国だ。
着慣れないスーツに身を固めながらも、どこか年に似合わない大人びた雰囲気を身につけていた。
彼も、次の春からプロ野球選手となる。
そして、そのチームは大型新人が目白押しと噂されていた。
なぜなら。
「大声出すんじゃねえ、バカ猿。」
背後からやってきたのは彼の同級生で…そして春からもチームメイトである犬飼冥。
「お前な〜人と話してる最中に走り出すんじゃねえよ。
失礼っしょ?」
そして同学年で当時県内一の実力を誇っていた華武高校の4番、御柳芭唐。
彼も春から猿野・犬飼と同じプロ球団への入団を決めていた。
「いでででっ!!二人そろってこづくんじゃねえよ!」
「「てめーが悪い。」」
どうやら会話の途中で置いてきぼりをくったらしい二人はそろって天国の頭をぐりぐりと小突いていた。
この3人も高校時代はいがみ合いが多かったが、
今ではよき仲間よきライバルとしてお互いに認め合っていた。
そしてこの3人はこれからも同じチームとして野球をしていくのだろう。
「ははははっあいかわらずだな〜さるの!」
「笑うなって!つか止めろ!」
「そうだな…二人とも。」
魁が苦笑しつつ見かねて止めようとしたその時。
「あはは、二人ともそれくらいにしたら?」
「ふふ。仲がいいのは結構だけどね。ちょっと痛そうだよ?ねえ猿野くん?」
「そーだZe、それ以上バカになったら高い金出した球団に悪いじゃねえKa。」
「同感だな。」
「あ、先輩たち…兎丸も一緒か。」
「屑桐サンもっすか。」
現れたのは十二支高の卒業生 牛尾御門と虎鉄大河、兎丸比乃。
そして華武高の卒業生、屑桐無涯だった。
牛尾は現在家を継いだが、野球への情熱が冷め遣らぬままか、球団のスポンサーも勤めていた。
そして虎鉄は音大、兎丸は美大へとそれぞれの道を歩んでいた。
ちなみに虎鉄は歌手デビューを既に果たしており、大学に通いながらの忙しい歌手生活を送っていた。
そして屑桐無涯は、当然のごとく卒業後プロ球界に入った。
現在は先発投手の一人として活躍していた。
「久しぶりだね、皆。」
「牛尾先輩〜〜。」
「ちわっす…。」
助けてくれた先輩に、天国は昔のようになきつく。
流石に公共の場所だけに「明美」は現れなかったが…。
「相変わらずだな、お前らは。」
「どもっす、屑桐さん。」
御柳は御柳で高校時代の頭の上がらなかった先輩に挨拶をする。
魁も、同年代のライバルの登場に挨拶をと顔を見せる。
「ご無沙汰しているな、屑桐殿。」
「ああ。」
互いに言葉は少ないが、来年度への抱負を胸にライバルに向き合う。
そんなちょっとシリアスな雰囲気の中で。
一際つやめいた…と、いうか黄色い声が聞こえてきた。
「きゃあっ天国ちゃあんv元気ぃ?!」
「こら兄貴ぃ!てめっいきなり何してやがる!!」
ぐわばっとシリアスをしていた二人の横を通り過ぎた影は、天国に一直線に向かっていった。
「どわああっ!!ね、姐さん?!」
「ああんv相変わらず可愛いv」
「はーなーれーろっ!!」
「うっわあセブンブリッジのお姐さん!」
「やあ中宮くんたち。」
「はあい牛尾君v屑桐君や村中くんも元気みたいね〜〜v
皆一段と男前になっちゃってv」
全く動じないで挨拶を交わす牛尾はさすがと言えよう。
知り合ってから3年、彼女…いや、彼の行動パターンにようやく慣れてきたほかの面々でも、なかなか落ち着かないのだから。
そんな兄を、弟影州は止めようとするがいかんせんキャラの弱さから。
止めきれずにいるようだ。(酷)
ちなみにすぐ傍にいた犬飼と御柳は。
助けたいのは山々だが、次に自分に抱きつかれるのも嫌なので葛藤しまくっていた。
「あ、あの姐さんもう離して…。」
「あん、てんごくちゃんてばつれないのねv」
そういいながらしぶしぶ手を放す紅印。
その格好は、双子そろってかなり派手だった。
方向性は違ってはいたが…。
ちなみに中宮兄弟は現在大学野球部で活躍中だった。
そして鳥居剣菱は…というと、トレーナーになるべく同大学で勉学にいそしんでいる。
そんな埼玉勢がわいわいと騒ぐ中。
更なる騒ぎの元が、彼らに近づいていた。
「お〜い、ヨミ〜〜お前またあいつんとこ絡みににいくんかいな。」
「俺ノ勝手ダ。鵙来、文句ヲ言ウナラ着イテクル必要ハナイゾ。」
「せやけどなあ。お前いつまでたっても口悪いんやからまたケンカなるやないか。」
「ダカラドウシタ。」
「ケンカする気まんまんやんけ…。」
「放ッテオケ。」
猿野天国の兄・雉子村黄泉。
日本が誇る若きメジャーリーガーだ。
彼は今、弟の下に向かっていた。
彼が弟のところにたどりつくまで、あと数分…。
To be Continued…
はい、これも長くなりそうなんで途中できりました。
ぴーく様、お待たせした挙句こんなんですみません!!
こちらも近日中に続編を書きますので!!